・・・だけじゃない矯正治療! -4咬み合わせ編(その1)-


矯正歯科を訪れる患者様の主訴のほとんどは、見た目の改善です。つまり歯の並びのデコボコした状態(叢生)や、前歯を後方に下げ口元を改善するのが目的です。
しかし大切なのは審美的改善ばかりではなく「審美」と「機能」のバランスをどうとるか?という事だと考えています。
では当院が全顎治療(上下顎にわたる永久歯列期の治療)において考慮している4つの「機能」、顎関節・呼吸・咬む力・咬み合わせについて説明致します。
最後は「咬み合わせ」についてです。このテーマは専門的すぎて難解かと思いますが、なるべく咬み砕いて分かりやすいようにご説明します。(咬み合わせの話だけに・・・)
先ず「その1」として咬み合わせ様式の2つのタイプとそれぞれの特徴について解説します。
人の顔がそれぞれ違うようにその骨格形態も人それぞれです。この形態の違いにより、いわゆる咬み合わせ様式もさまざまです。
(咬み合わせ様式とは上下の歯を咬み合わせ下顎を前、横にずらした時どのように上下の歯が当たっているかで分類したもの。)
この咬み合わせ様式の違いは、「咬む時に働く筋肉(閉口筋)の活動」と「咀嚼」に影響する事がわかっています。
つまり咬んだ状態から前方側方に下顎を動かした際に①「奥歯がしばらく離れず歯が接触する咬み合わせ」と、②「前歯の接触によって奥歯がすぐ離れ、歯が接触しない咬み合わせ」の2つのタイプに分ける事ができます。
出っ歯(上顎前突)症例の多くは①のタイプ、受け口(下顎前突)症例の多くは②のタイプです。①のタイプは「たこ」など咀嚼が難しい食品をすりつぶす事(臼磨運動)が可能ですが、咬む筋肉の筋活動が大きくなりやすいという特徴があります。このタイプの咬み合わせの人が睡眠時、歯ぎしりを起こすと強い歯ぎしりとなります。また②のタイプは咀嚼時すりつぶす事(臼磨運動)は困難で下顎を上下に動かし咀嚼するという特徴があります。
このタイプの咬み合わせの人が下顎を前後左右に動かした際、上下の奥歯の接触がない事から咬む筋肉の筋活動が大きくなりにくいと言われています。(咬んだ状態でくいしばると頬の筋肉が固くなりますが、上下の歯を接触させないで同じようにくいしばっても筋肉は固くなりません。)①と②の咬み合わせ様式どちらが良いかという事ではなく一長一短である事がおわかり頂けるかと思います。
次回は「4咬み合わせ編」の後半その2、咬み合わせ様式の仕組みと目指す咬み合わせについて解説します。
・・・だけじゃない矯正治療! -3咬む力編-
・・・だけじゃない矯正治療! -2呼吸編-
・・・だけじゃない矯正治療! -1顎関節編-