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日中の眠気は気のゆるみ?それとも人類の進化のせい?

2003年2月16日、新幹線運転士の居眠り運転が発覚し日本中に衝撃を与えました。
この運転士さん、前日は公休で約10時間の睡眠をとり当日の勤務に臨んだとの事です。
新幹線運転歴は2年9か月で過去にトラブルを起こした事はないそうです。

この日、広島発東京行きひかり126号に運転士として乗務していました。
福山駅で停車し次の停車駅は岡山駅でした。
その後のJR西日本の調査において新倉敷駅付近で眠気に襲われ岡山駅までの約26キロ約8分間、居眠りしたまま時速270キロで走ったという事です。

岡山駅に到着した時にはまだ熟睡しており列車自動制御装置が作動し定められた位置から100m手前で停車したとの事。
その後、運転士が「病気ではない」と話したため新大阪駅まで運転したそうです。
翌日の新聞でも大きく報じられ朝日新聞夕刊にはJR西日本が今回の事故について「健康上のトラブルではなく、運転士の“気のゆるみ”が原因」との見方を強めていると報じました。
しかしこの運転士さん翌3月には大阪市の病院に検査入院し睡眠時無呼吸症候群であった事が判明、全国でこの病気が広く知られるきっかけとなった事件でした。
この事案を契機として2004年4月から歯科におきましても睡眠時上気道を拡張する装置OA(オーラルアプライアンス)が保険導入となりました。
メディアにおいても大きく取り上げられ、特にNHKでは2003年4月放送のクローズアップ現代にて「突然の睡魔が事故を呼ぶ ~睡眠時無呼吸症候群~」、そして2008年4月放送の700万年の“人類の進化”のなかに病のタネ(上気道の狭窄)があったというNHKスペシャル「病の起源 睡眠時無呼吸症 ~石器が生んだ病~」へと繋がっていきます。
以前、学会で東京大学の人類学の先生が講演で次のように仰っていました。
「ヘビは昔、手足があったんですが、今はご承知の通りありません。しかしヘビはヘビで絶滅する事なく繁栄しています。手足が無くなった事を進化とみるか?退化とみるか?それを決めるのは我々ヒト、しかし退化も進化の一(いち)形態」と言われた事を思い出しました。

つまり進化の過程では、良くも悪くも形態の変化とそれに伴う機能の変化が起こってしまうという事です。悪しからず。